前回の内容を簡単におさらい
廃用症候群とは、
・運動不足や不動化などによって引き起こされる二次的障害。
・その症状も幅広く活動性の低下により自分たちにも関わってくる。
今回はサルコペニアとの違いを筋肉から説明し、改めて運動習慣の必要性をお伝えできたらいいなと考えております。
では、解説していきます。
2.サルコペニアとの違い 〜筋肉から比べてみる〜
・サルコペニアは筋肉自体が減っている、廃用は筋肉が萎縮している
サルコペニアと廃用性筋萎縮(廃用症候群により萎縮してしまった筋)の違いは、減っているか萎縮しているかです。
サルコペニアにおける骨格筋の変化は廃用症候群におけるその変化と比較した場合、筋繊維の縮小など共通した所見が認められるが運動単位数や運動ニューロン、神経筋接合部、筋組織に関して違いが認められる。
宮本省三ら著(2018年)『人間の運動学 ヒューマン・キネシオロジー』協同医書出版社(pp.208)
とあります。
運動単位数、運動ニューロン、神経筋接合部、筋組織などの変化の違いがあります。
これらの言葉を解説すると長くなるので、例えると、
自宅のコンセント(脊髄)から延長コード(運動ニューロン)が出ており、延長コードには扇風機やスマホの充電器、ライトなどがつながっています(運動単位数)。扇風機は弱のボタンが押してある状態で延長コードのスイッチをオンにします(神経筋接合部)。ボタンは押したままなので扇風機が動く(筋収縮)。
わかりにくいかと思うので、筋肉について解説する回を設けようと思います^^;
廃用性筋萎縮に関して、これらに変化はなく不動により筋線維経(筋肉の太さ)が小さくなります。
一方、サルコペニアでは筋線維経の縮小は共通しているのですが、運動単位数や運動ニューロン、神経筋接合部、筋組織、それぞれの減少が起きます。
脊髄から筋肉に指令が至るまでの数が減少しているということになります。
指令により運動を発揮することができる筋肉が、指令が来ないと徐々に廃れていき筋線維経の縮小につながります。
よって、筋力の低下が起きるのです。
・筋肉の萎縮に対してできることは、筋トレと栄養摂取
筋肉を大きくするためには、と聞かれるとイメージするのはやっぱり筋力トレーニングですよね。
骨格筋に対する荷重の増大(抵抗性トレーニングやストレッチ等)は、骨格筋を肥大させ、発揮張力も増大する。
CLINICAL REHABILITATION 臨床リハVol.29 No.2(2020年)医歯薬出版株式会社(pp.117)
とあるように、トレーニングやストレッチは筋肉を大きくし、筋力も向上することがわかります。
廃用性筋萎縮は運動不足により筋が萎縮してしまったものですが、積極的に運動や活動量を増やしていくことで改善が期待できます。
また、サルコペニアに対しては運動を単独で行うよりもたんぱく質摂取と併用して行うことが効果的です。
3.将来を見据えて、改めて考えてみよう
今回の要点をまとめると、
原因と症状
サルコペニアは加齢によって筋肉の減少が起きる。
廃用症候群は運動不足により引き起こされる二次的障害で、様々な症状が発生する。
改善するには
サルコペニアは、運動療法と栄養療法の併用で改善を行っていく必要がある。
筋肉が萎縮(廃用性筋萎縮)してしまったものは、運動を行うことで改善する可能性が高い。
僕がいいたいこと
筋肉が萎縮してしてしまった状態で、加齢に伴いサルコペニアになると治療するにも時間がかかります。さらに日常生活する範囲も制限され、さらに進行が進む可能性が高く悪循環することが想像できると思います。
みなさんは、老いた自分を想像できますか?
少なくとも今回の説明で、老化により筋力低下がどれくらい起きるのか分かったと思います。
ざっくりとまとめました。もっと細かいことに関しては、その都度更新していきます。
それではいい健活をお過ごしください。
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