栄養管理で難しい脂質の管理。
何が難しいというと、脂質を控えすぎると味気ないご飯になってしまい楽しめませんよね。
それでは、楽しく継続した食育・食トレができませんよね。
自分がどれくらい脂質を摂っているのか意識したことはありますか?
そもそも、脂質はどれくらい摂らないといけないのでしょうか?
また、脂質を摂るメリットとデメリットは何でしょうか?
そして、摂取するのに良い脂質とはどのようなものがあるのでしょうか?
今回は、脂質の必要性と量、そして良い脂質とは何かについて解説します。
目次
- 結論
- 脂質の働きや効果(メリットとデメリット)
- 「質」も大事〜n-3系脂肪酸を摂る〜
- 必要な脂質の摂取量
- まとめ
結論
- 脂質を摂ると身体機能や体内環境を調整しパフォーマンスが上がることで結果的に筋肥大に繋がる
- テストステロン濃度の減少を防ぐ効果がある
- 「質」にこだわる→n-3系脂肪酸を摂取すると細胞膜流動性が高まり筋タンパクの蓄積が促進する
- 過剰・過少摂取は厳禁、トレーニングをしているなら最低でも1日に体重×1gの脂質を摂取しよう
脂肪の働きや効果(メリットとデメリット)
ポイント
- 脂質を摂ることでトレーニングに直接的な効果があることはない
- 脂質を摂ることで体内の機能や環境を調整し結果的にパフォーマンスが上がる
- 低脂肪摂取ではテストステロン濃度が下がる
- 除脂肪体重の増加を促進してくれる
- 過剰に摂取すると肥満になりやすく、テストステロンも低下する
メリット
まず、筋肥大のトレーニングを行う時に脂質を摂取することで効果を発揮するかというと直接的な関係はありません。
しかし、トレーニングを行う「コンディション調整」などの間接的な効果が多くあります。
脂質を摂取することは血中テストステロンの濃度と関係してます。
テストステロンは脂質の一種であるコレステロールから作られるため、脂肪摂取は血中テストステロン濃度に影響を及ぼすことが示されている。
著者:Brad Schoenfeld/監修者:後藤勝正「骨格筋肥大のサイエンスとトレーニングへの応用」発行所:有限会社ナップ(pp.209)
そのため、脂質の量が減ることでコレステロールが減少しテストステロンの生成が減少します。
脂質を摂ることでテストステロン濃度の減少を防ぐことが出来ます。
そして、テストステロンは筋肉の成長に関わるため減少を防ぐことは不可欠ですね。
また、後述しますが脂質の種類によっては細胞膜の流動性(血液から筋肉へタンパク質の受け渡しの行いやすさ)を良くするという働きもあります。
デメリット
脂質は摂取することでテストステロンの濃度の減少を防ぐことがわかりましたね。
では、筋肥大のためにテストステロン濃度を上げる脂質を多く摂るといいのかと言うと、
残念ながら脂質の「量」と「種類」によっては、逆の効果を生むことにもなります。
脂質を多く摂取すると、逆にテストステロン濃度を抑制することがあります。
テストステロンを最適に生成するためには脂質を過剰・過少摂取は控えたほうが良いですね。
また、脂質には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つに分類されます。
飽和脂肪酸は、動物性の脂質であればであればバターや牛脂、ラードなど植物性であればヤシ油やココナッツオイルなどです。
脂質の飽和脂肪酸ばかりを摂取すると、血液から筋肉へ筋タンパクを補給する際の受け渡しが
上手く行かず、最適な筋肥大の筋合成の抑制に繋がります。
では、筋肥大を最適にすることの出来る脂質とは何があるのでしょうか?
「質」が大事〜n-3系脂肪酸を摂る〜
ポイント
- 筋タンパクの蓄積を促進させる細胞膜の流動性を高める
- 心筋梗塞や脳卒中を予防することが出来る
[筋タンパクの蓄積を促進させる細胞膜の流動性を高める]
筋肥大を最適にすることの出来る脂質とは、ズバリ「多価不飽和脂肪酸」です。
不飽和脂肪酸の中でも、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられます。
多価不飽和脂肪酸は、細胞膜の流動性(血液から筋肉へタンパク質の受け渡しの行いやすさ)を高めてくれる働きを多く持っており、トレーニングのタンパク合成を促進してくれる良い影響をもたらします。
さらに多価不飽和脂肪酸は、n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸に分けられます。
n-6系脂肪酸はひまわり油やごま油などに含まれます。
そして、n-3系脂肪酸は亜麻仁油やえごま油、DHAやEPAを多く含む青魚(ブリやサンマなど)です。
ちなみに一価不飽和脂肪酸はオレイン酸(オリーブオイルやアーモンドに多く含まれる)です。
この、n-3系脂肪酸は細胞膜の流動性を高めつつ、さらにより多くの筋タンパクを蓄積するためn-3系脂肪酸を摂取することが良いですね。
[心筋梗塞や脳卒中を予防することが出来る]
さらに、n-3系脂肪酸には多くの良い働きをしてくれます。
「n-3系脂肪酸」を摂取すると血液をサラサラにしたり中性脂肪を減らしてくれる作用を持っています。
加齢とともに血管は固くなり易く、さらに血液がドロドロな状態が続き中性脂肪も増加します。
血流が悪くなると「血栓」という塊が血管の中で作られ易くなり、その塊が心臓や脳の血管に詰まると「梗塞」を起こす可能性に繋がります。最悪の場合、命を落とすこともあります。
n-3脂肪酸を摂取すると血管内部の流れが良くなり血栓が出来にくく中性脂肪を減らすことで心筋梗塞や脳卒中を予防することが出来るという効果もあるため、「質」にこだわることで健康にも繋がります。
必要な脂質の摂取量
ポイント
- トレーニングを行っている人はホルモンの変化を防ぐためにも最低1日に体重×1g摂取する
- 炭水化物とタンパク質のバランスも意識する
実際に脂質の摂取量に関しては、メリットでも話したようにテストステロンなどを意識する必要があります。そして、トレーニングを行っている人は特に意識しないといけないので一日あたり体重×1g摂取すると良いですね。
限定的なデータによると、ホルモン変化を防ぐために最低1g/kg/日を摂取していれば十分であるとされる。
著者:Brad Schoenfeld/監修者:後藤勝正「骨格筋肥大のサイエンスとトレーニングへの応用」発行所:有限会社ナップ(pp.210)
また、タンパク質・脂質・炭水化物の量を表したPFCバランス(P:タンパク質・F:脂質・C:炭水化物)から考えても近い量になります。今回話すと長くなるので次回に解説しようと思います。
まとめ
「脂質」と聞くと、あまり摂らないほうが良いという考えもあると思います。
しかし、脂質には種類があり決められた量の良い脂質を摂取することで体内環境の調整に役立つということがわかりましたね。
過激にダイエットをして脂っこい食べ物を制限して、ストレスが溜まってドカ食いしたり脂質も飽和脂肪酸を多くとってしまったりすると痩せようとした意味が無くなるのは悲しいですよね。
今回は、そんな脂質を抑制した過激なダイエットではなく脂質の種類や量を個人の状態に合わせて摂取するということを解説しました。
味気ない食事を我慢しながら食べるのではなく、脂質の種類を見極め、食事も続けられる内容を考えて筋肥大や健康に効果的で継続的に出来るとなりたい自分に近づけますね。
今回も参考にした書籍はこちらです。細かい解説などの図や表、文献も多く載っております。
興味のある方は強い味方になるのでぜひ検討してみてください。
では、良い健活を。
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